おそろし等々

 前に本について書いたのは、『夢をかなえるゾウ』だった。それ以来、読んだ本が
どうも良くも悪くもなく、深い感銘を受けるものがなかったので、書かなかったが、
漸く読んでよかったと思う本に出会ったので紹介しようかなという気になった。
しかし、そのほかの本も折角読んだので少し書くことにする。
そんなついで感丸出しの後で、タイトルをあげるのはちと申し訳なくもあるが
人それぞれ好みがあるということで、ご容赦願おう。

 まず、映画「おくりびと」の影響で読んだ『おくりびとが流した涙』
なぜ『納棺師日記』にしなかったのか?わかりません。ただの天邪鬼だからかも。
これも納棺師が書いた本で、非常に美しい言葉で亡くなった方への敬意を忘れずに、
書いておられる。その姿勢は素晴らしい。しかし、そのせいで、上手くまとまり過ぎ、
面白さに欠ける。ま、こういう題材に面白さを求めるのは不謹慎かも知れないけど。

 友人に薦められた『ツチヤの口車』
確かに面白い。こんな女子大の教授がいたら楽しいだろう。かなりの人気者では?と
思ったけど、ご本人は学生に尊敬などされることもなく、教授たちにはお荷物扱いを
受け、助手にはお茶も入れてもらえないと書いている。ただ、この方の言うことは
どこまで本当かウソかわからないので、鵜呑みにしてはいけない気がする。
ユーモアが過ぎるというか、冗談がくどすぎて引いたところもありcoldsweats01

 このミス作家人気一位という帯に惹かれて買った『向日葵の咲かない夏』
こういうのをホラーミステリーというらしい。私はどうも苦手。
そうは言っても、読み始めるとその先が知りたくて、どんどん読み進む。
ということは、人をひきつけるものがあるということか?でも、後味が悪い。

 図書館に予約し、やっと順番が回ってきた二冊。
宮部みゆきの『楽園』と東野圭吾の『ダイイング・アイ』
『楽園』は『模倣犯』の続編風。同じルポライターが登場するのだけど、『模倣犯』も
あまり好きではなかったし、今回も私の好みではなかった。
『ダイイング・アイ』は色んな面で、無理な設定だった気がする。
最後まで読んで「えぇー、だから何?ピンと来ないよ~」と思った。

 また図書館から連絡を受け借りたのが、あさのあつこの『待ってる 橘屋草子
これは良かった。ついに気に入る本に出会ったと思えた。
短編集かと思ったが、それぞれの物語の登場人物は全て江戸の料理茶屋
「橘屋」に縁がある人々。貧しさゆえに、つらい経験をした人々。
 その人たちに道を見出させるキーパーソン的な存在の仲居頭のお多代。
凛としてカッコいい。彼女には何でもお見通しだ。手取り足取り教えるのではなく
自分で考えさせる。人を育てるのが上手だ。こういう上司がなかなかおらんのだよ。
色っぽくて、男性から見ると良い女なのだが、決して女を武器にしない。
厳しいが厳しさの中に思いやりが見え隠れする。
しっとりとした優しさに包まれる、良質のお話を読ませてもらった気がした。

 その後また予約の本が。宮部みゆきの『おそろし 三島屋変調百物語事始』
『待ってる…』と同じ江戸ものではあるが、系統は全く違う。
読み始めた瞬間、やっぱり宮部はすごい!と思わずにいられなかった。
誰の心にも棲む魔物というか、醜い部分を実にうまく表現している。
そして、そのせいで、亡者を作り出したり、呼び込んでしまった人々。
だけど、決してそれを悪いとは言わず、救いがある書き方をしている。
それにしても亡者が出て来るわけだから、一つ一つのお話がとにかく怖い。

 夫が午後から出張に行って、一人きりの夜に読んだものだから、電気を消した後
少しの物音にもびくびくしてしまったよcoldsweats02
おまけに私の前に借りた人のものかどうか知らないが、わけのわからない
中途半端な長さの髪の毛が挟まっていて、気味の悪いことといったらなかったshock
たまに借りた本にお菓子のかすが挟まっていて、気分が悪くなることがあるが、
髪の毛よりはましな気がしてきた。ともあれ、借りた本は大事に取り扱いましょう。

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ガネーシャの課題と友との別れ

 引越しの準備をする際、本の処理が結構面倒くさかった記憶があるので、
出来るだけ本は購入せず、図書館で借りることにしている。
 しかし、話題の本となると予約が殺到し、酷いのは二百人待ちなどがある。
私の手元には忘れた頃に届くのだろうけど、すぐに読もうと、遅れようと
余程旬な話題を取り扱っていない限り、本の価値に変わりはなかろうと
気長に待つ事にしている。

 そして先日、図書館から「予約の本がご用意出来ました」と連絡があった。
一体どの本が?と思ったら、『夢をかなえるゾウ』だった。

 インドのガネーシャという神様が、自分を変えたいと願いながら出来ずにいる
サラリーマンに様々な課題を与えて実行させるというもの。
自己啓発本といってよいのだろうか?
何故か関西弁を喋り、行動は俗っぽく、胡散臭いことこの上ない神様ではある。
その言葉は、主人公に対しては押し付けがましく、恩着せがましいが、
読者の側からすると実に受け入れやすい。
 彼の課題はしごく簡単で当たり前のようでいて、よーくわが身を振り返れば、
実行出来ていないことが多い。自分が日頃からどれほど楽に流されているか
反省もさせられる。

 全く話は変わるが、東京に単身赴任で来ていた学生時代の友人が
京都に帰ることになった。それと入れ替わりに別の友人が東京に単身赴任になった
ということで、歓送迎会が催された。
 幹事さんは、いつものお方。学生時代のサークル仲間が、関西でも飲み会を
しているのだが、東京の方が毎回盛会なのは、この幹事さんのおかげでもある。
 今月、この方の奥様を含む女性四人で、旅行をすることになっているのだが、
全ての手配をこの方がして下さっている。
何と、当日の切符、宿泊予定のホテルのパンフ、近隣の観光スポットの資料とともに
この方が作成した予定表まで、この日持ってきてくれたのだ。
 その予定表に、駅に着いたら「コインロッカーに荷物を預ける(改札の外)」と
書いてあるのを読んで痺れたね。そこまで細かく考えてくれたんだぁと感嘆の思い。

 そこで思い出したのが、ガネーシャの教えの一つ。
主人公はガネーシャを富士急ハイランドに連れて行くために、緻密なスケジュールを
立てさせられる。それに不満を感じていると、この神様はこんな例を出すのだ。

 ツール・ド・フランスで七連覇したランス・アームストロング。
彼が本当にすごいのは、準備の周到さ。レースが始まる前に、全長3400キロの
コースの風向き、天候、気温、考えられる限りの組み合わせを完璧に調べる。
そういう要素が、当日に走りにどんな影響を与えるのか、ありとあらゆる
シュミレーションをする。その綿密さは他より圧倒的にすごい。

 だからこそ、七連覇という偉業を成し遂げたのだろう。
妻とその友達の旅行計画をここまで綿密に立ててくれる人は、
きっと仕事の面では、もっと事前に周到な準備をするのだろうな。

 京都に帰る友人が、会社近くのタバコ屋のおばあさんと仲良くなり、餞別に
煙草をもらった話をしていた。その中で、朝は早めに出社し、掃除をした後、
煙草を買い、おばあさんが店の前に出している灰皿のそばで煙草を吸うのが
日課になっているというのを聞いて、またガネーシャのことを思い出す。

 松下幸之助は、誰よりも早く会社に行って、仕事をする前にトイレ掃除をしていた。

 友人の場合、トイレ掃除とは言わなかったが、年齢的に会社では、上の立場で
あるに違いないのに、早めに行って掃除をするという行為に感心させられた。
 この人も休みの日には計画を立てて、色々な場所に出かけていると話していた。
そういえば、「寝る前に布団に入って、『あー幸せ~』と声に出して言うんや」と
言ってたことがあった。
これもガネーシャの教えの「その日頑張れた自分をホメる」とか、「毎日、感謝する」に
該当するんじゃないかな。「会った人を笑わせる」もこの人の場合は当てはまるなぁ。

 考えてみたら、ガネーシャは随分と身近にいたのかも知れない。
面白可笑しい彼の話を笑って聞きながら、見習わなきゃ思うことが多々あった。
実に魅力的な人物であったと改めて思う。
これから彼と会う機会がなくなるのは極めて寂しいことである。
「お元気で」などと言わなくても、どこに行っても元気いっぱいで場の空気を
自分色に変えて行くのだろうと思う。

煙草の吸いすぎとお酒の飲みすぎには気をつけるんだぜぇ、ムラちゃん!

追記:ガネーシャの名言集
 靴をみがく
 コンビニでお釣りを募金する
 食事を腹八分におさえる
 人が欲しがっているものを先取りする
 会った人を笑わせる
 トイレ掃除をする
 まっすぐ帰宅する
 その日頑張れた自分をホメる
 一日何かをやめてみる
 決めたことを続けるための環境を作る
 毎朝、全身鏡を見て身なりを整える
 自分が一番得意なことを人に聞く
 自分が苦手なことを人に聞く
 夢を楽しく想像する
 運が良いと口に出して言う
 ただでもらう
 明日の準備をする
 身近にいる一番大事な人を喜ばせる
 誰か一人のいいところを見つけてホメる
 人の長所を盗む
 求人情報誌を見る
 お参りに行く
 人気店に入り、人気の理由を観察する
 プレゼントをして驚かせる
 やらずに後悔していることを今日から始める
 サービスとして夢を語る
 人の成功をサポートする
 応募する
 毎日、感謝する

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里帰りⅢ(読書)

 里帰りでどこまで引っ張るねんと、お思いでしょうがcoldsweats01
新幹線で移動の間、ひたすら本を読んでました。不思議なことに山口までだと
途中で飽きがきたりして集中出来なくなるのですが、東京-神戸間は丁度良い時間で
行き帰りで、一冊ずつ読めました。

 行きは、息子の部屋からちょいとお借りした東野圭吾作“レイクサイド”
中学受験の勉強合宿のため、湖畔の別荘に泊り込んだ四組の親子。
そこで起きた殺人事件。わが子を有名中学に入れるという共通の目的のため、
協力し合ってきた親たちの奇妙な連帯感。異常ともいえる強い結びつきのわけは?

 割合早い段階で、犯人はわかったものの、動機や親たちの秘密がわからず。
筆者の策に翻弄され、全然違う方向に思いが行ってました。
引き込まれるし、一気に読んでしまったけど、何か物足りない感あり。

 そんな感想を持ちつつ、帰りは宮部みゆきの“スナーク狩り”
東野ファンには申し訳ないのですが、格の違いを感じました。
前にも、“眠りの森”の後、“名もなき毒”を読んで、同じような感想をもちました。

 これは私が女性だからということもあるのかも知れません。
とにかく、細部にまで行き届いた見事な表現力に舌を巻きました。
比喩表現が上手い。情景がよりわかりやすく伝わるだけでなく、
そう感じる登場人物の心理状況まで、察することが出来るのです。

 同じ時間に別々の場所で過ごす登場人物たちの、気持ちや行動がうまく
表現され、それぞれが徐々に絡み合ってくる流れの何とスムーズなことか。
事件が終わり、よくも悪くも生活が変わってしまった人々。
その中の一人に手紙を書かせることで、“スナーク狩り”の意味を語る。

 この展開の巧さと、伝えようとすることの深さに他の作家との違いを感じました。
ただ、結末は…。これでよかったのかな、やっぱり。
安易にハッピーエンドにするより、現実はこんなもんだよと。
その中で、この人たちは光を求めて頑張るであろうと。
そう教えてくれているのでしょう。

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良書との出会い

 最近、読む本に偏りが見えてきた。同じ人の本を読んでいると、飽きも来る。
(宮部みゆきは例外だけど) 新しい分野で何かないかと思っていた。そんな時、
私の一番若い友人に米原万里の『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を薦められた。

 九歳から十四歳までプラハのソビエト学校に通っていた筆者が出会った
三人の友人の当時の思い出。
三十年後、激動の東欧で音信が途絶えた彼女たちを探し、今度は大人の目で
新たな真実を知るノンフィクション。

 実は私、世界の動きに全く興味がなく、従って、ソ連、東欧に起きたことは、
詳しくは何も知らない。
そんな私でも引き込まれるほど、わかりやすく興味を抱かせる文章に舌を巻く。
但し、さらさらとは読めない。一つ一つの文章をしっかり咀嚼しつつ読み進む。
そのうち自分の無知が恥ずかしくなる。
「平和ボケ日本」という言葉が頭をよぎる。何にも知らないで、のほほんと生きている。
何事も起こらないから、国家について何も考えず、愛国心も薄い。

 自分の世界は狭すぎる。今まで苦手分野だと感心を持たなかった事にも
挑戦してみるべきだなと思う。
で、今頃か?という感じだが、ペレストロイカについて簡単な資料を読んでいる。

 本というものは、その中に書いてあることだけでなく、そこから感じることによって、
見聞も広がり、自分も成長させてもらえるものだと、改めて思った。
そして、そういう本が良書というものなのだろう。

ところで、この本を薦めてくれた友人、なかなかやるなぁ。見直しましたよん。

やはり、色んな人とお付き合いしとくもんですね。

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本に追われる

 二週間ほど前に、『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』という本を
図書館で借りた。うえちんが以前ミクシィで紹介していたもので、このタイトルに
日本語に少々うるさい(と自負している)私は興味をもったというわけ。
 ところが、この本を借りた直後に図書館から予約していた本の順番が来たので
来るようにと連絡が入った。それも二冊。

 阿川佐和子著『グダグダの種』と東野圭吾著『容疑者Xの献身』
後者は今頃かい!って感じでしょ。私もいつ予約したか忘れる位長く待たされた。
予約本だから延長が出来ない。何が何でも二週間以内に読まねばならぬ。
夫も東野圭吾が好きなので、先に読んでもらって、私は阿川さんのを読み始めた。

 これが一番最初の項は面白くて流石ねぇと思ったが、後がいまいちピンと来ない。
どうした?阿川女史。いや私の感覚が違ってきたのかなぁ。何だか読み進めない。

 もたもたしていたら、夫が読み終えたので先に『容疑者~』を読む。
これは一気に読めた。さすが、すごい、あったまいい。そうかそう来たかという感じ。
それにしても数学者や物理学者ってすごいね。
 ときどき「学校の教科で社会や国語は実際に世の中に出て役に立つけど、
数学は何の役にも立たない。あんなのするだけ無駄だ。」という人がいる。
私は数学が割合好きなので、猛烈に腹が立った。
 何言ってんだぁ。そんなのは数学が出来なかった人間の負け惜しみ的な
屁理屈に過ぎない。数学は論理的に物事を考えるのに役に立ってるんだ。
数学をしっかりやらなかったから、そんな短絡的な発想しか出来ないのよ貴方は!
と言ってやりたかった。角が立つからというより、多分理解してくれないと
思ったので言わなかった。
この本には数学を勉強する意味を 実に論理的に書いてあるところが嬉しかった。
でも、そんなところに注目して喜ぶ人はそう多くはないだろうけど^^;

 そんなこんなで明日は返却日。『グダグダ~』は三分の一ほど未読のまま返却。
『字幕屋~』は延長手続きをするつもり。ところが、また予約本が来たと連絡が…。
宮部みゆき著『名もなき毒』 『字幕屋~』は果たして読みきれるのか?

 職場からも今月中に目を通しておくようにと資料を渡されたが、全然読めてない。
最近、字が見えにくいので、文章を読むのが苦手になっている。
かろうじて読んでも、内容が頭に入ってこない。それなのに読書欲だけはあって
予約を次々とし、自分を追い詰めてしまっている私は数学人間とはほど遠いねぇ。

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